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小金井京子先生のひとりごと その4

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~中国語は動詞にこだわる


“姓”、“叫”と“是”について


A: 喂,你好! 我是铃木。

B: 啊! 铃木,你好!

                 ……


これは、A(鈴木さん)とBの電話での会話の冒頭部分です。


Aは一言目に“喂,你好! 我是铃木。(もしもし、こんにちは!鈴木です。)と名乗っています。


ここで「あれ?」と思った方、いたのではないでしょうか。


「自己紹介で自分の名字を名乗る時は“我姓~”で紹介すると習ったのに、どうしてここでは“我是~”で言っているのだろう?」


“我是铃木。”は自分を知っている相手に向かって「(わたしはあなたの知っている)鈴木です」と名乗る言葉です。この会話では、鈴木さんが知り合いに電話をし、相手に自分を確認してもらうために言った一言ですので、“我是铃木。”がふさわしいということになります。


中国語はこのように動詞を細かく使い分けることで、たとえばテキストで日本語の訳が同じ「鈴木です」となっていたとしても、その動詞の使い分けに気づくことができれば、「この一言がどのようなシーンで言われたもので、その人物たちの関係性がどのようなものなのか」までしっかり理解することができたりするのです。

 

我是铃木。 Wǒ shì Língmù.                      鈴木です。(相手が自分を知っているであろう場面)

我姓铃木。 Wǒ xìng Língmù.                鈴木です。(自己紹介など、初めて相手に名乗る場面)

 

 では、自己紹介での動詞の使い分けに話をうつしましょう。“姓~”は「名字を~という」という意味の動詞、“叫~”は「下の名前やフルネームをいう」時に使う動詞ですが、自己紹介の場面でこの2つの動詞を使って名前を言うのはどうしてなのでしょうか?


初対面の人の名前は当然初めて聞くものですから、聞き取りにくいこともあるでしょう。でも相手が“我姓~,叫~”で自己紹介してくれたなら、名字は2回聞くことができますし、姓と名の区切りもはっきりしますね。(中国人の姓は“王”や“李”のように一文字のものも多いが、“司马”や“东郭”のような二文字以上の姓もある)


また、中国語は述語+目的語が基本的な並びで、目的語の前に述語が提示されることになります。“姓~”と聞こえたら「次は名字を言うんだな…」、“叫~”と聞こえたら「今度はフルネームか、下の名前を言うぞ…」のようにその後に続く言葉が絞られているので、動詞の使われ方を覚えることで「動詞と目的語の意味のかたまり」がイメージできるようになり、それが聞き取りやすさにもつながっていくのですね。

 
 
 

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