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小金井京子先生のひとりごと その7

更新日:9月26日


日本語脳と中国語脳 …… スイッチを正しく切り替える②


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前年比20%増。


今日はこの「前年」について考えてみたいと思います。


同じ漢字が中国語では「一昨年」、つまり「二年前」を表す言葉になっています。

単語レベルで「今年、去年、一昨年…」と一つずつ覚えている時はよいのですが、“前年(qiánnián)”を実際に文の中で見たとたん、日本人の頭の中では意味が置き換わってしまうことが少なくありません。


 “比前年增加了百分之二十。 Bǐ qiánnián zēngjiāle bǎifēnzhī èrshí。”                      

一昨年に比べ20%増(この2年で20%増えた) 


※「前年比(ぜんねんひ)~」ではない!

「前年」は中国語では“前一年 qiányìnián”という。


中国語の“前”には「(空間的に)前、前方、先。(時間的に)先、以前、昔」などの意味がありますが、“~年(~nián)”や“~天(~tiān)”と結びついた時には、“前年(一昨年)”“前天(一昨日)”のように、今年や今日から見て二つ過去に戻るイメージになります。


漢字を使っているという共通点から、互いの言語理解には有利な点が多い日本語と中国語ですが、一方こうした無意識の内に起こりがちな理解のずれについては、より一層注意が必要なのも日本語と中国語なのですね。


“前”には、前に進むとか未来、といったイメージもあります。

「前方、正面、目の前。前進する。未来の~」という意味を持ちつつ、

同時に「昔の~」という相反する意味を持つことは非常に興味深いところです。


このあたりは日本語にも共通するものが見られます。共通するイメージはありがたくヒントにしつつも、個々の単語理解はやはり一つひとつ地道にやっていくことが大切です。

 

「先の~」のイメージを持つ言葉にはほかに“上 shàng”もあげられます。


こちらは“上(个)星期shàng(ge) xīngqī  先週”

“上(个)月shàng(ge) yuè 先月”

のように「過去に一つもどる」イメージのある言葉で、

もう一つ過去にさかのぼる場合には“上上~”のように重ねて用いられます。

 

“上上(个)星期shàng shàng ge xīngqī  先々週”

“上上(个)月shàng shàng ge yuè 先々月”

 
 
 

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